2019.03.01

食べる

隠し部屋やシューティング?“歯止めが効かない”寿司屋が実力以上に演出のアクが強すぎる。

こんにちは。ライターの藤原です。

大切な人とのディナーや、友人とのランチ、お店選びをするときには味はもちろん、お店の雰囲気やおもてなしも重要です。大分県豊後大野市JR三重町駅の駅前通りにあるお寿司屋は、そのどれもが秀でた…というよりも桁違いな、絶対に誰かを紹介したくなるお店です。

気になる噂を聞きつけ、早速ユニークすぎる寿司屋『創作鮨 喜久』さんを訪ねました。

外観はシックな造りなのですが…扉を開けると目に飛び込んできたのは、青色にライトアップされた店内に飾られた大きな番傘、提灯、魚が泳ぐ水槽、ジャングルのような木々…。

どこからツッコミをいれたら良いのか…とにかく盛りだくさんな店内にポカンと呆気にとられていると、「面白いでしょ」と現れたのがオーナーの安田孝さん。

「まぁ奥の隠し部屋へどうぞ」

ここは…本当に寿司屋!?

バーのようななんとも言い難い寿司屋(?)のカウンター雰囲気が独特です。

 

ここは隠し部屋の内部。社長室のような椅子があり不思議な空間を醸し出しています。


寿司の腕前は折り紙つき! “ 金賞受賞 ” 経験も。


安田さんは、大分県竹田市出身。3 歳までを竹田市で過ごし、その後となりの豊後大野市三重町に引っ越してきました。調理科のある高校へ進学し、すしの面白さに目覚めた安田さん。卒業後は東京のすし屋さんに弟子入りを決め、14 年間修業を積んだそうです。

「 4 年に一度『全国すし技術コンクール』というのがあるんです。いつか自分のお店を出すときに看板に入れたかったので、東京で修業しているときにそのコンクールに挑戦をしていました。30 分以内に 5 人前のお寿司を作って、手際や出来栄えを競うんですけど、 3 回目の挑戦で金賞を獲ることができました」

各都道府県から地区大会で勝ち抜いた 10 人が出て、全国で 500 人ほどの挑戦者が集まるという『全国すし技術コンクール』。猫や犬、うさぎなど動物に模した細工寿司を得意とする安田さんが手掛けた、異色の寿司は話題を呼び、イギリスの調理学校から「指導してほしい」と声が掛かったのです。

イギリスで寿司を教えているうちに海外で働くことに魅力を感じた安田さんは、世界的に人気な和食料理店『NOBU』に就職。イギリスを拠点に、ギリシャ、イスラエル、アイスランドなどを巡りながら、寿司を握り続けてきた安田さんは「いつかは地元でお店を出したい」と 2013 年、三重町に戻りお店をオープンしました。

 

 

コンセプトは「海外にあるインチキ臭い和食料理店」

 

「いろんなお店を見てきた中で、これいいなと思ったことは全部頭の中に入れていました。それをいいとこ取りして造ったんですけど、“日本のものをいっぱい集めて日本だよ”って言っているような、ちょっとインチキ臭い和食料理店を目指しています(笑)」。

なるほど、世界各地でインスピレーションを得てきたからこそ、海外にあるようなお店の造りになったのか! と納得。

予約で1番に埋まるという忍者屋敷のような隠し部屋。「他のお客さんと会いたくないときにオススメ」と安田さんはいう。

 

金魚すくいコーナー。金魚の逃げ足が速く、最後に成功した人は2カ月前というほど難易度の高い遊びになっている。

 

子どもたちに人気のドクターフィッシュ。寿司屋で手もキレイに。

 

生まれ故郷の竹田をイメージしたという月が満ち欠けする仕掛け。月の部分が動くのになかなかお客さんは気づいてくれないらしい。

 

川に生息する魚を入れた水槽もあり、子どもたちに課外授業を行なっているらしい。

「店内は全てバリアフリーにしています。テーブルの高さも車椅子の方に合わせて、通路も広くしました。それは、高齢化に対応するため。家族に車椅子の人がいたら外に出かける機会が減るじゃないですか。かつ飲食店で車椅子に対応しているところは少ないと思って。今は車椅子で利用される方が年々増えています」

訪れたお客さんを楽しませようとさまざまな仕掛けがある店内には、「おもしろさ」だけではない、店主のおもてなしが感じられるこだわりがあったのです。

 

「寿司屋でパンを出すの、うちくらいですよ」

 

規格外の内装にひとしきり驚いて楽しんだ後はお待ちかねの料理。「喜久」のディナーは、飲み放題付き3,500円と4,000円の2つのコースから選べます(ランチは要予約で2,000円のコースのみ)。「うちは普通の寿司屋のように寿司がメインではないんです」と安田さん。店内を見れば、その言葉では驚きません。期待通り、メニューも器も、提供の仕方も“独創的な不思議体験”が始まりました。

一品目に出てきたのは、トマトのエスプーマと生ハムを挟んだパン。このあと本当に寿司出てきます?

 

キハダマグロで作った絶品自家製ツナサラダとジューシーな手羽先。

 

ポテトフライは豊後大野で採れたハラペーニョ(青唐辛子)を使ったソースで。

 

その日獲れた魚を目の前で捌いてくれるパフォーマンス。そして…。

 

本ガツオのりゅうきゅうに! 脂がのっていて、とろけました。

 

女子会には一品サービスのうれしい特典が! この日は豚のスペアリブ。

 

ようやくお寿司が登場! 個室に店主が来て、目の前で握ってくれるなんて。なんて贅沢な時間!

 

シャリの硬さも絶妙! 寿司の内容はその日獲れた魚によって異なるそうで、この日はサーモンとアジ。

ゆっくり2時間、一品一品提供される料理の数々。そのどれもがユニークで、驚きと美味しい感動があり、会話も弾みました。佐伯や津久見から届く新鮮な魚を目の前で捌いてくれるパフォーマンスは贅沢そのもの! 安田さんの「楽しんでほしい」というおもてなしをしっかりと感じることができるひとときでした。

 

食後は、2階のシューティングバーで。

 

いきなり何を言い出したかわからない人に先に言っておきます。ここは“シューティング”ができる寿司屋だということを。美味しい料理にお腹が満たされた後は、2階へ。大人の秘密基地をイメージした部屋は、結婚式の二次会や打ち上げにも重宝される空間だと言いますが、壁にはものものしい銃が飾ってある。


「エアガンが好きで、お客さんにも好きな人が多かったので、2階はエアガンの射撃場にしました。ボトルキープならぬガンキープができるんです」

ちょっと、何言っているかわからないです。



階段を上がるとすぐに現れる、大きすぎるクマのぬいぐるみ。

 

安田さんのこだわりが詰まりに詰まった空間は、長居する人も多く、6時間以上も居続ける強者もいるんだとか。

 

お客さんのエアガンキープがずらり。


インスタ映えを狙ったという枠の中から、的を目がけて乱射。もうわけがわからん。

「食事以外の付加価値をつけたかったんです。自分が雇われていたときはそのお店の方針に従っていたのですが、いざ自分で始めたらやりたいことに歯止めがかからなくなって…」

今後は 6 部屋中まだ 2 部屋しか完成していない隠し部屋を、アッ! と驚くような隠し部屋にしたいと野望を話す安田さん。これからのお店がどうなって行くのかすごく気になりますが、とにかく百聞は一見にしかず。足を伸ばしてでも訪れたい迷( !? )店です。

 

店舗名 創作鮨 喜久
住所 豊後大野市三重町赤嶺2995−9
営業時間 17:00〜23:00 ランチは要予約
休み なし
TEL 0974-22-7123
駐車場 3 台
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