2019.07.22

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まちのちいさなドライブイン「ちとせや緑茶」の魅力〜お店とまちのカンケイ

 

豊後大野市千歳町。中九州道無料区間の三重/千歳インターを下りて2〜3分のところに、「ちとせや緑茶」がある。

ちとせや緑茶は、2019年5月30日にオープンした地産のお土産品や雑貨、テイクアウトのドリンクと手作りサンドイッチが楽しめるお店だ。

 

手作りの看板に黄色い旗がオープンの目印

黒塗りのシックな建物に白を基調とした、店の名前が入った暖簾がかかる。

店内に入れば、木の温もりを感じる。陳列を見ればおしゃれな雑貨や地元の食材が並ぶ。聞けば「ちとせや緑茶」は、ここからすぐの場所にある千歳町のカフェ「Cafe green brown」の新たなお店だ。「Cafe green brown」は市内外からお客さんが訪れる人気店。この両店のオーナーを務めるのが、カフェ店主の後藤香織さんだ。

別府から豊後大野市千歳町へ結婚を機に移住。住みたくなるような、人の集まるような田舎にしたいと2017年2月20日にカフェをオープンした。

「お客さんがカフェに来て、『どこか他による場所とか、オススメの場所はないですか?』と聞かれることがあって。せっかくなら豊後大野市を回ってもらって、豊後大野のお土産を買って帰れる場所があったらいいなと思っていたんです」

豊後大野市外からお客さんがカフェに来てくれるのにそのまま帰ってしまうのは、もったいない。せっかくならドライブコースとしてどこかへ寄って豊後大野の良いものやおいしい食べ物を味わって帰ってほしいと、ちとせや緑茶をオープンさせた。

 

コンセプトは、”オトナ女子が寄れる、まちのちいさなドライブイン”

「名前を聞けばどこか懐かしいような、でも若い人には新しいようなイメージとして、”ドライブイン”にしました。飲み物もあって、休憩もできて、お土産も買えるようなお店にしたかったんです」

 

主役となるのは、テイクアウト。手作りのサンドイッチは溢れんばかりにタマゴを使ったタマゴサンドとB.L.Tサンド(サンドセットの「はみでるちゃん」は¥500、それぞれサンドイッチ1つずつの「こばらちゃん」は¥280。価格は税込)。ほかにもお弁当「キャンプ飯」(¥380)がある。

 

種類豊富なソフトクリームや、オリジナルドリンクも充実していて(写真左から)あんこほうじ茶(¥430)、ホルスタイン(¥430)、抹茶みるく(¥430)、スパイスジンジャーティー(¥400)がある。季節によって山もも、シソ、梅など地元の素材にこだわったドリンクも登場する。

 

お土産品として取り扱う食べ物は地産にこだわり、雑貨は豊後大野に限らず大分の作家も扱う。選ぶ基準を聞けば、まずはお店に合うかどうか。それに、オトナ女子にかわいいと思ってもらえるかどうか、だとか。自分の感覚を大切に、流行に左右されないものを置く。

「豊後大野中心の食べ物を置いているのは、やっぱり豊後大野市外の人に知ってもらうためなんです。豊後大野市外の人にも来てもらいたくて。発信は市外の人を対象とした発信の仕方にしています」

食材は、豊後大野市内でもこだわりを持った店舗が多く置かれている。例えば、豊後大野市三重町にある『三代目とら吉』。創業70年で素材にはこだわりを持つ。至高の豆腐『横綱』をはじめ、スプーンで食べる豆腐や大分県産の大豆だけで作った豆腐も置く。

 

また、こちらも三重町にあるハム工房『義ハム』。ちとせや緑茶の店舗大家の縁もあって置くことになったのだが、味も申し分ない。『義ハム』は、ハム工房『すどう』から技術を継承し、同じ製法で作られる豊後大野産ハムで、作り手も若手だ。

 

ほかにも、まんじゅう三代目『三愛本舗』が試行錯誤を重ねて完成した「スパイスジンジャーティー」や酵素和おやつの「旅するこびる」、季節のオーガニックな素材を使った『タオオーガニックキッチン』の酵素シロップなども置いている。

 

名前の由来は、和テイスト

「ちとせや緑茶」の名前にもこだわりがある。

「カフェの名前の『green brown』は、緑と茶、つまり豊後大野の自然をイメージしています。『ちとせや緑茶』の名前を考えるときに、お店のイメージは”和”で行こうと思っていました。なので、横文字ではなく縦文字で和のテイストを入れたかったんです」

「ちとせや」の由来は、千歳町といえばココ!という場所がほしかったという想いからで、千歳町の知名度を上げたい、という気持ちもあった。豊後大野市外から来る人にとって、ネーミングが”覚えやすい”のは非常に重要だ。もちろん千歳町の名刺代わりになる「ちとせや」という名前は、地元の人たちにとっても親しみやすい。

 

カフェ、ドライブイン、町並み

「自分が住んでいるところでどんな町になったらいいかって、やっぱり人が集まるような田舎町ですよね」

自分がやりたいこと、自分ができること。それが「カフェ」しかなかったという。

「ずっとカフェをやりたいとカフェで働いていたんです。途中会社員もやってみたけど、向いてなくて。結婚して、自分のやりたいことをやろうと思ったときにカフェだったんです」

来てくれるお客さんとのコミュニケーションの中で生まれた豊後大野をもっと知ってもらいたいという気持ち。カフェだけでは伝えきれない豊後大野の魅力を伝えたいと思った。

 

「豊後大野の他にはない大自然の良さやおいしい食べ物、こだわりのもった良いものを知ってもらいたいと思って、”まちのちいさなドライブイン”と繋がっていきました」

カフェ、ドライブイン。カフェ開業から3年を待たずに、千歳町という田舎で2店舗を経営するようになった後藤さんに今後の展望を訊いた。

「豊後大野を、湯布院のようなオシャレで人が集まる町並みを目指していきたいんですよね」

後藤さんの目は、輝いている。

お店情報

まちのちいさなドライブイン「ちとせや緑茶」

住所:〒879-7413 大分県豊後大野市千歳町下山918番地1

TEL:0974-27-5433

営業時間:10 : 00 〜 17 : 00

定休日:木曜日/第2水曜日

Facebook:https://www.facebook.com/chitoseya.ryokucha/

Instagram:https://www.instagram.com/chitoseya.ryokucha/

取材・文=高橋ケン