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2019.09.20

イベント

『あたらよ』の子ども村つくりキャンプからみえる拡張家族とは?

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8月17日(土)〜18日(日)に豊後大野市大野町にある拡張家族『あたらよ』にて、『村つくり体験こどもキャンプ』が開催された。


豊後大野市大野町にある『あたらよ 』という築80年の家があることをご存じだろうか。「拡張家族」をコンセプトに20〜30代の若者が農村社会実験を行なっている。今回は、その活動の一環として「子どもキャンプ」を開催。キャンプを通して子どもたちに「村つくり」を伝えていく。

聞き慣れない「拡張家族」という言葉に疑問を持ちつつ、キャンプに同行して取材をしてきた。そこからみえる「拡張家族」とはなにかを紐解いていく。

 

「家族になろう!」の問いに「えっなんで?」

「このキャンプではみんな家族になろう!」

開口一番『あたらよ』村長である田浦大(27)さんは、そう子どもたちに伝えた

「え? なんで家族にならんといけんの?」

すぐさま子どもたちが切り返す。

少し悩んだ後、田浦さんはこう返答した。

「たぶん幸せになるからじゃないかなぁ。」

「ふーん。」

子どもたちはスッキリしない顔をしていた。

私自身も「家族になる=幸せになる」がどうも繋がらず、子どもたちの反応に共感してしまった。

キャンプを通してどうやって子どもたちに「拡張家族」の魅力や大切さを伝えていくのか? 非常に興味が湧いてきた。

 

「教える」よりも「ともに学ぶ」

「みんなこのキャンプでどんなことしたい?」

このキャンプにはいわゆる”大人が用意したプログラム”は存在しない。これは『あたらよ』が、何かを”教える”ことよりも、ともに”学ぶ”ことを大切にしているからだ。子どもたちの「〇〇したい!」をもとにして、子どもたち自身が主体的にプログラムを作りあげていく。

「川へ行きたい!」「BBQをしたい!」「探検したい!」「農業体験したい!」「虫を捕まえたい!」「流しそうめんしたい!」「料理したい!」「星空観察したい!」子どもたちの”やりたい”欲求は爆発寸前。ここからいよいよあたらよのキャンプがスタートだ。

 

何も用意されなくても子どもは自分のやりたいを見つけていく。

「虫捕まえてくるー!」と虫とり網を片手にあたらよを飛び出す。

 

そうかと思えば、土に水を流して泥んこになって思いっきり遊びをはじめた。

 

一方の子どもたちは『あたらよ 』が管理する無農薬の畑で野菜を収穫した。

 

蟻を見つけては、「カメラで撮ってみたらどうなるかな?」と興味津々。

 

山に入り竹を切ってきて、何かを作りはじめた。

子どもたちは、大人に言われたわけでもなく、あるいは何かを用意してもらったわけでもなく、その場の環境のなかで自分の”やりたい”をすぐに見つけていく。

 

やりたい!気持ちがあればどんな困難も乗り越えていく

「このボートで川遊びしたい!」 その一言でスタートした川探し探検。

 

川がどこにあるかもわからない。どっちに進んだらいいのか。ときには地元のおじちゃんやおばちゃんに道を尋ねてみる。 

 

「この道行けるのかな?」

「うーん…行ってみよう!」 

「あっ川の音が聞こえる!」 

1時間以上探検し続け、ようやく見つけた川。車で来れば2〜3分のところだが、満足度は200%だ。

 

「明日もまた川に来よう!」 

そう語りながら夕陽を眺める彼らの背中は、なんだかたくましくみえた。

子どもたちにとっては「川探し探検」は単に遊びだったかもしれない。しかし「やりたい!」気持ちがあれば、どんな困難でも乗り越えていく。車で使えばすぐに到着。しかし自分たちの力で歩いていくことを選んで川までたどり着いた。便利な世の中で、あえてその不便さを選んだ経験は、子どもたちの確かな「学び」になったのではないだろうか。

 

「あたらよ」とは、誰かの居場所。

キャンプを終えると、子どもたちは「またキャンプしたい!」と満足げだった。

最後に印象的な会話のシーンがあったので紹介をしたい。

 

「なぁなぁ大くん、またここに遊びに来ていいん?」

「おう!いつでも遊びに来ていいよ!」

「え?本当にいつでもいいの?」

「あぁ!いつでもおいで。」

 

ほんの少しの会話だった。しかし、この会話には『あたらよ』が目指している”拡張家族”という概念が詰まっていた。

『あたらよ』とは、友達でもないし、家族でもない。でも、いつでも来ることができる居場所。いつでも来ていい居場所。

 

テクノロジーのお陰で、いつでも誰とでも繋がることのできる時代だからこそ、リアルで感じられる人の温もりと優しさ。ときにケンカもあるだろうが、どこか憎めない。そんな”誰かの居場所”となる空気感が『あたらよ』にはあるのかもしれない。

同じ豊後大野で活動する者として「よくわかってはいないけど、おもしろそう」という距離感でこれからもカンケイしていきたい。

 

取材・文=山下浩二