2020.01.30
イベント
寒い季節は、体重計から目を背けることが多くなるが、マラソンにおいては暑い時期に走るより最適なコンディションであることに間違いない。
旅先での観光地を巡り温泉で身体をゆっくり休めたり、海外へ飛び出してアクティブな旅を楽しんだりと旅のカタチは人それぞれ。なかでも近年注目されつつある”旅RUN”をご存じだろうか? 土地ならではの出会い・観光・温泉・食などさまざまな目的を集約した新たな旅のスタイルだ。
今回はローカルな旅RUNを楽しみたい方のために大分県豊後大野市千歳町でのおもてなしがうれしい千歳町ひょうたん健康マラソンの”旅RUN”を紹介する。
今年で17回を迎えたマラソン大会「千歳ひょうたん健康マラソン」は、地域の力で支えられ密かな盛り上がりを見せた。昔、村であったこの地区に300人を上回る参加者が各地からこの日のために集まった。コースの魅力はなんといっても高低差。8キロ付近に待ち構える急坂とアップダウンに苦戦するランナーも多い。
頭に乗せているのは千歳町のシンボルでもある『ひょうたん』。この地に800年の歴史がある『ひょうたん祭り』という奇祭があるからだ。参加者は、九州のランナーが中心だが、なんと東京や三重県からやってきた参加者もいるというから驚きだ。
手を叩き、大声で道沿いで応援する地元の方々。応援されると頑張りたくなるものだ。声援にこたえるくらい余裕のあるランナーもいた。
汗をかいたあとは、ボランティアの方々が作るあたたかい豚汁と地元でとれた新米ご飯の振る舞われる。ボランティアは当日の朝5時から起きて700食を準備をしたのだそう。食材はすべて農家さんからの提供であるから驚きだ。
毎年のアンケート結果で『豚汁がおいしかった』というメッセージに背中を押され、高齢化で解散してしまった婦人会が”白鹿女子会”という名でこの日限定で立ち上がる。
地元食材にこだわり、大きな鍋で地元のお母さんたちが作った豚汁は体はもちろんのこと心もあたたまる。
「応援してくれたからあなたも食べて!」とにこやかにボランティアの方々が来場者にも振る舞っていた。
地元中学生もボランティアで大会に貢献している。なんとドリンクも無料なのだ。この日は”疲れた体を癒してほしい”とマッサージの無料施術や園芸用の苗木も無料で配布された
その年にできたひょうたんをこの日のため、地域の老人クラブがボランディアで手がける。栽培は地元の学生が作るのが恒例なんだとか。みんなの思いが詰まったトロフィーには見えないところでドラマがあるのだ。ユニークなトロフィーに観客の口元も自然とゆるみ、和やかな時間が流れる。
申し込みをしたランナーはハズレなしの抽選会に参加することができる。この抽選会の景品は、地元の方々からの提供で成り立っていることが何よりもスゴい。旅RUNはその土地に触れるのが魅力の一つであるが、マラソンをしてさらにお土産がもらえると言っていいハズレなし抽選会だ。地元の企業・酒造をはじめ、農家さんが持ち寄る新鮮な野菜など、その地域ならではの景品が並ぶ。”千歳町に来てくださったランナーのために何か1つでもお土産を持って帰ってほしい”という、町ぐるみのおもてなしの気持ちが参加者数を上回る景品の量にもあらわれている。
どれが当たったとしても嬉しい特産品の数々。当日とれたての野菜など”その日の夕食まで健康になって欲しい”と地元民は願いを込める。あたたかい食事とマラソンで疲れた体を癒してくれるマッサージ、そしてお土産まで抽選でもらえる、千歳町を大満喫できるマラソン大会だ。
マラソン大会を通じて、食・地域との交流を味わってみてはいかがだろうか? ローカルを旅する感覚でマラソンを楽しみ、地元ならではのおもてなしを肌で感じとってほしい。そこには、参加者に対するボランティアの思いがつまっていて、「人のあたたかさ」に触れることができる。
毎年参加者もボランティアもたくさん募集しているのだそう。大会、そして地域全体がさらに盛り上がっていくことを願う。
情報
千歳ひょうたん健康マラソン大会事務局
住所:〒879-7401 大分県豊後大野市千歳町新殿785番地3 千歳公民館内
TEL:0974-37-2069
取材・文=日淺 聡士